2019.02.10
今日は仕事の話、今の話ではなくずっと以前のことを思い出しながら。
まだ大會社という会社をやっていた頃の話だから、もう15、6年前のこと。
このところ新聞記事でアパレル会社のデサントのニュースをよく見かける。
デサントの大株主である伊藤忠がデサントを子会社にしようとTOBをかけようとしていて、デサント側はそれを嫌い阻止しようとしているというものだ。
デサントは大會社時代の思い出深いクライアントである。
ボクがオンワードのいくつかのブランドの立ち上げの際のクリエイティブを手がけたこともあり、人を通じてデサントから声をかけてもらっていた。
社長直轄の仕事をされていた遣り手企画マン赤井さんとその秘書的な立場でプランナーの野間さんと、ボクのブランディングの仕事をするときの仲間である近藤さんとボクの4人だけで取り組んでいた大人の女性向けのL’oiseauというブランドをつくったときのことだ。
スポーツ衣料の分野のデサントが初めて手がける女性向けのアパレルで、名前はもちろんのこと起用するデザイナー、ショップのデザインまですべてこの4人だけで進めた。デザイナーは英国の新進気鋭の女性デザイナー、ソフィア・ココサラキ。ギリシャ出身ですでにロンドンでcollectionを発表し数々の賞も受賞していた。この若き美人デザイナーとの契約やデザインの打ち合わはすごく楽しみで都合3回もLondonに行った。
商品撮影もLondon、市内の古い建物を借り切って行った。モデルは当時世界的な超売れっ子モデルだった冨永愛さんにお願いした事は忘れもしない。
表参道に相当な予算をかけてshopもだしたのだが、やはりこの手のジャンルをデサントが未経験なこともあって広告もPRも思うようにいかず、長くは続かなかった。企画自体はすごく良くできていたと今でも思うのに、あっけなく終わってしまった。
赤井さんは言いたいことはいっぱいあったと思うがボクらに恨み言はいっさいなく、その後のことも何も知らされてはいないけど、責任を取らされたと思う。
申し訳ないことをした。その後赤井さんはどうされているんだろうと時折思い出されていたのだが、こうしたデサントと伊藤忠の記事を読むとますます気に病むのだ。
2019.02.04
昨日は新宿で映画を見た。
新宿ピカデリーはすごい人だった。日本で一番混んでいるシネコンと
噂に違わぬ混雑ぶりで、今話題の「ボヘミアン・ラプソディ」も
上映されていることもあって超満員。普段映画を見ない若い人たちも
来ているんだろう。カップルが多い。しかしボクが見たのは
「天才作家の妻」という映画の方で、これはシニア向けといっていい。
「天才作家の妻」というタイトルどおりノーベル賞作家の夫婦物語。
受賞したのは夫であるが、実際に書いていたのは妻の方だったという
ちょっとしたミステリー仕立てで、父子の葛藤も絡み合う
ストーリー。ノーベル賞作家もけっこう軽いもんだな思ったりして
そこまで優れた作品とは思わなかったが、
グレン・ローズというベテラン女優の演技は出色もの。
今年のアカデミーの主演女優賞候補かなとも思わせた。
「スリー・ビルボード」のフランシス・マクドーマンドも
そうだったが、美人でもない地味な演技派ベテラン女優の
力量にあらためて驚かされて、見ごたえがあった。
最近はよく映画を見る。シニア料金で見られるのも助かるし、
時間さえ合えば、2時間かっこうの時間つぶしになっている。
さすがに若い頃と違って映画館の梯子はしないが、
夜また家で映画、ということはある。
若い頃見た映画、見逃した映画などけっこう見ている。
うちのTVも大画面のものに換えたし、音響環境もそれなりに整えたので
楽しみが増している。とくにnetflixがいい。
自主制作の作品の充実ぶりは驚かされる。
AMAZON PREMIUM で見ることも多い。
過去の作品をもう一度見ることがこんなに面白いことだとは思わなかった。
つまらない放送の番組をみるなんてバカバカしくなる。
2018.05.02
一昨日の明け方にすごい頭痛で目が醒めた。
汗もかなりかいていた。今までこんな事はなかった。
隣の部屋の冷蔵庫の音が、ふだんはそうでもないのに
妙に気になり寝室を締め切って寝たせいで
部屋の温度が上がったのかな。
額と首の後ろ側が焼けるように痛かった。
喉もヒリヒリしていた。水を飲みたくて起きた。
ウオーターサーバーからコップに水を入れて飲み干した。
そのついでに冷蔵庫から熱冷ましを取りだし、
額に置くと気持ちよかった。そのままベッドに戻り
小一時間眠ることができた。これはけっこうラッキーだった。
いつもは早朝に目が覚めると二度寝というのがなかなかできなくて
一日中眠気でボートしていることが多い。
そんなときはやりたいことがあってもはかどらなくて。
そういう意味では一昨日の朝ははまだ気分は良い方だった。
朝早く起きてちょこまかと動くことは嫌いじゃない。
掃除したり、洗濯したり、散らかしたままのキッチンの流しの
食器類を片付けたり、仕事机の上を整えたりしていると
だんだんやる気が起きてくる。その日の良いウオーミングアップになる。
自分が何かを始めるときのルーティンになっている。
そういう時に絶対欠かせないものが音楽だ。
うちにいる時間が増えたからというものは音楽が重要になってきた。
朝一番に聞く音楽はその日を左右するほどだ。
さっと決まることもあれば、何回も曲を掛け直すこともある。
クラシックもオペラも聴く。ロックも、ジャズは朝は向いていない。
午後乗ってきて仕事に没頭でき始めたらジャズが最高だけど。
一昨日はストリーミング契約しているtidalで
新曲のRECOMMEND TRACKを流していたら
聴き覚えのある声のレゲーが聴こえてきた。
曲ははじめてだが声はたしかに聴き覚えがあった。
IPADのディスプレイを見るとDAMIAN MARLEYとあった。
あのBOB MARLEYと関係があるのかと思って調べたら、
なんとBOBの息子で、もうグラミー賞を3回も獲得している。
何だボクが知らなかっただけか。それにしても声が
お父さんそっくりで心地よい。
マイアミとジャマイカでに住んでレゲーDJが本職と
Wikipediaには描いているけどレゲーミュージシャンとしての
実績がすごいよ。ミック・ジャガーとも共演しているし。
新しいアルバムも全米のチャートを上がってきているし
これから毎日耳にしそうだ。季節も夏に向かってるし。
2018.04.14
3日前に、岡山から東京に戻ってきた。
このところ月に一度は岡山だ。
総合プロデューサーをしている
岡山県赤磐市の地域創生プログラムAKAiiWAの
月イチミーティング出席のために。
岡山は自分の生まれ故郷、高校を卒業するまで
ずっと住んでいたところだから通うのは苦にならない、
楽しみにしているくらいだ。
高校の同級生たちの多くが東京の大学に進学し、
社会人になってもそのまま東京を拠点している者も多い。
しかし、ボクほど岡山と深い関係を
持ち続けている者はいないだろうね。
コピーライターの仕事をはじめてからというもの、
一度も東京を離れたことはないが、
妻と娘は妻の家業の関係でずっと岡山にいる、今も。
両親とふたりの姉家族も岡山だから
その間しょっちゅう岡山に帰ることになる。
娘は高校卒業後は東京の大学に進学してきた。
その大学4年間だけが父娘で暮らした期間。
娘といっしょに東京で生活することを
ずっと楽しみにしていた割にはその4年間の
記憶がほとんどない。なんでだろうなあ。
卒業後彼女はフランスに留学したりしたが
帰国後すぐ大学の同級生と結婚し
そのまま東京でくらしている。
まあ、そんなかんだでボクの東京ー岡山行ったり来たりは
今に始まったことではなく、いつまでかは分からが
ダラダラとそういう人生かな。
今回たまには両親に線香でもあげましょうと、
今は長姉の次女家族が暮らす実家に行った。
その帰り道すがらにかつて悪童仲間と
悪さを繰り返していた辺りを歩いてみた。
町はこざっぱりとして、自分が住んでた頃の
猥雑さはすっかり消えていた。見憶えのある家はもあるが
代替わりしたようで新しい建物が多かった。
表札は懐かしい同級生の名前だったりして
近所仲間の彼や彼女たちの顔や声がふっと
浮かんできたりもしたが、
だけどもう彼らはそこにはいるのかいないのか、
子や孫が住んでいるだけなのかもしれない。
いや、多分まだ元気でいるのだろうけど
いまさら訪ねても仕方ないような気がして、
そのままただ通り過ぎた。
自分の生まれたのは別の場所で、新幹線の岡山駅のすぐ裏側の
庶民的な家が密集して賑やかなところだった。
家のすぐ北側は1キロ以上はある商店街で、映画館もあった。
繁盛していた商店の子どもたちが同級生に多くいて、
忙しくて親にかまってもらえないこともあり、
日が暮れるまで遊んでいたものだ。
それが、地方の商店街のご多聞にもれず、
見事にいや寂しいことにシャッター街に変わり果てていた。
寂しいなあ、みんなどこにいったのだろうか。
ただ家業の商売をやめただけなのか。
もちろん映画館も消えていた。建物そのものが
なくなりただの空地になっていた。
隣のラーメン屋だけは奇跡的にまだ営業していた。少し安堵した。
家族で映画を見てこの店でラーメンを食べて帰るのが
唯一で最高の楽しみ、そして贅沢だった。
懐かしい濃い色のラーメン注文した。
60年以上の月日が流れて、当時の味など憶えていなかった。